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2013.09.20 指導者としてアルゼンチンでの9ヵ月を終えて…。
1月からスタートしたコーチ留学も早いものであっという間の9ヵ月でした。
わずかに9ヵ月ですがアルゼンチンで生活しサッカーを見てきた中で感じたこと、日本を出て改めて考えさせられたことなど様々なことを学ぶことが出来ました。
今回のコーチ留学の目的のひとつには「文化を知りサッカーを学びたい」ということがありました。
例えば「どうしてアルゼンチンからは優秀な選手が多く出てくるのか?」
それを知るにしてもアルゼンチンにはどういった歴史があり、人々はどんな生活をしているのか?などサッカー以外の面を見る必要があると思っていたからです。
あくまで個人的見解ですが他国に行って練習メニューだけ見ても全ては分からないと思います。
アルゼンチンに関して言えば本当に試合を多く行っています。
アップして試合。
筋トレして試合。
走ってから試合。
平日でも朝から対外試合。
これは以前にも紹介しましたが文化的背景として教育制度(学校に行く時間を選べる)が大きく関わっています。
僕が良く練習に足を運んでいたのは育成に力を入れているとされるラヌース。マラドーナやレドンド、カンビアッソ、リケルメなどを輩出した育成の名門アルヘンティノス。そして世界的にも有名なリーベル・プレートというクラブですが、どこのクラブもカテゴリーを問わず見学に行けば必ず試合をしていました。
ではなぜこれで選手が育ってくるのか?
現段階で僕の中での答えは
「なにもしないこと」
「本能」
このふたつです。
「なにもしないことに」関しては指導者として少し悔しい気持ちもあるのですが下手にいじらないからこそ伸びる才能があるのだと思います。
アルゼンチンでは公園にいけば勝手に人が集まってきていつの間にか試合が始まることが多々あります。
そこでは大人も子供も年齢に関係なく皆がボールを追いかけています。
誰かにプレーを強制されることもなくサッカーを楽しんでいます。
日本に比べるとアルゼンチンはまだまだ貧しい暮らしをしている人がたくさんいて日本のようにTVゲームを持っている子供など本当に限られています。
ですがサッカーボールだけはどんな場所にもあります。
空き地や公園にはゴールがあります。
単純なことで、ボールとゴールと仲間がいれば選手は勝手に育ってくるのです。
アルゼンチンにはこのような文化と環境があるから「なにもしないこと」が成立するのだと思います。
練習内容やオーガナイズに関して言えば日本の方が緻密でしっかりしているでしょう。
アルゼンチンでそのような練習を増やしたら、僕は全体的なベースは上がるのではないかと感じています。ですがそれと同時に飛び抜けた才能は出にくくなってしまうとも感じました。
もうひとつは「本能」についてです。
僕はアルゼンチンではGKスクールで実際に指導をしていたのですが、アルゼンチン選手は理解力に乏しい印象を受けました。
デモンストレーションで見せた動きを何度も間違える。口頭で説明しても理解出来ずに間違える。
子供から大人までスクールの中で何回もそんな光景を見てきました。
8月にイラーリオ・ナバーロという現役のサッカー選手(インデペンディエンテ所属)がスクールへ練習しに来たことがあったのですが、アップで行うステップワークを中心としたメニューでは間違いを繰り返していました。
見兼ねたユース所属の選手が何度も説明して動きを確認していたほどです。
しかし実戦形式の練習になるとしっかりシュートを止めるのです。
「それ止めちゃうの?」というようなスーパープレーもありました。
GKに限らずアルゼンチン選手は練習では出来なくても本番に強いと思います。
それは恐らく「本能」で動いているからだと思います。
頭であれこれ考えて行動するよりもアルゼンチン人のメンタリティーには合っているのでしょう。
この点に関しては日本人選手にもヒントになるのではないかと思っています。
自分も含めてですが、理論好きの日本人は時に考えすぎなのではないでしょうか。
指導者は言い過ぎず、先回りしすぎずに。
選手はシンプルに。
もしかしたらそんなことが大切かもしれないと思っています。
それと技術的なところでひとつ取り上げたいことがあります。アルゼンチン人は球際でのプレーが日本人よりも上手いし強いことです。
試合ではテクニカルなプレーよりも激しいプレッシャーと球際の激しさに目を奪われます。
間合いや奪いに行く姿勢など見習うべきだし日本人は改善しなければならないことだと感じています。
もし今後、日本で指導するのであればこの守備の部分は徹底したいと思っています。
以上が今回、アルゼンチンで僕が感じたことです。
もちろん他にももっとここだけでは記載出来ないほど多くのことがありましたが、それは自分の財産として心の中にしまっておきたいと思います。
最後になりましたが今回の留学に関わった、たくさんの人達に感謝を伝えたいと思います。
留学を実現出来たのにはまずは稲若さんの存在があります。
そして応援してくれた家族や友人がいます。
現地では通訳兼代理人のTさん、そしてプロサッカー選手を目指して頑張っている子供達と生活を共にしてきました。
その他にもアルゼンチンで出会ったたくさんの仲間や友人がいます。
この場を借りてみんなにお礼を言わせて頂きます。
本当にありがとうございました。
僕は選手ではないので筋トレをして体が大きくなったとかドリブルが上手くなったなどの一目でわかるような成長はしていません。
かと言って内面的にも自信が付いたとも言い切れないです。
しかしアルゼンチンで生活をして新しい価値観に出会えたと思います。
日本にいたら気づくことができなかったこともありました。
勇気を出して、アルゼンチンへ渡ってきてよかったです。
チャレンジに年齢は関係なく、いつでもどのタイミングでも勇気さえあればできるものだと改めて思いました。
飯沼直樹